2026年2月、Ahrefsはある調査を公表しました。世界中のマーケティング予算の組み方を変えていてもおかしくなかった内容です。検索上位のページを分析したところ、GoogleのAI Overviewが表示されている場合、クリック率が58%低下するという相関が確認されました。これは端数の誤差でも、季節的な落ち込みでもありません。同じ種類の分析が2025年4月に示した34.5%の低下の2倍近い数字です。つまり、この傾向は落ち着くどころか、勢いを増しています。
Pew Researchはさらに率直な数字を示しています。AI Overviewが表示されている場合、ユーザーが検索結果をクリックする割合は8%で、表示されていない場合は15%です。Chartbeatは、2025年に2,500を超えるニュースサイトでGoogle検索からの流入が33%減少したと計測しました。Digital Content Nextの加盟社が報告した減少幅は1%から25%で、75%を超えた媒体もあります。
創業者と事業責任者にとっての意味
これをメディア企業の問題と受け取りたくなりますが、そうではありません。購入前に調べものをする相手に何かを販売しているのであれば、あなたのファネルには2年前には存在しなかった穴が開いています。しかもその穴は最上部にあり、アクセス解析では見えません。順位が横ばいで、表示回数が増えていても、セッション数は減り続けることがあります。訪問を伴わずに答えが届けられているからです。
この変化こそが、AI検索エージェンシーという市場を生み出しました。仕事の中心は、リンクの一覧で順位を獲得することだけではなくなりました。答えが組み立てられる際の情報源になることが求められています。両者は関連する分野ですが、同じ分野ではなく、戦術はすぐに分かれていきます。

Googleの対応と、それでは足りない理由
2026年5月6日、Googleはこの批判に正面から応える5つの変更を発表しました。AI Overviewsの末尾に設ける「Further Exploration」リンク欄、文中リンクにカーソルを合わせたときに表示される補足情報、ユーザーがすでに購読料を支払っている媒体を目立たせる購読ラベル、Redditや一次情報源を取り上げるフォーラムの視点、そしてショッピング関連の検索で拡充される商品レビューカードです。
注意深く読むと、いずれも答えの中に置くリンクを増やす方法であり、ユーザーを答えの外へ送り出す方法ではありません。これは皮肉ではありません。引用される面積が広がれば、引用されるサイトには確かに恩恵があります。ただし、恩恵を受けるのは特定の種類のページです。モデルが主張の出どころとして示しやすいページです。ありふれたマーケティング文は引用されません。引用されるのは、独自データ、明快な比較、当事者による記述、構造化された事実です。
独占禁止法上の圧力は現実のものです
Penske Mediaは独占禁止法に基づく訴訟を起こしました。欧州委員会は、AI Overviewsが競争ルールに違反していないかについて調査を開始しました。米国では司法省が検索をめぐる独占禁止法訴訟で勝訴し、連邦判事が検索の独占的な配信契約を禁じました。いずれも早期に決着することはなく、その間にクリックが戻ってくることもありません。
法的な結果を前提に2027年の売上を計画することは、戦略とは言えません。引用される存在になることを前提に計画することが戦略です。
実際に取るべき行動
- レポートで表示回数とセッション数を分けて見てください。両者が連動しなくなっているなら、あなたは無視されているのではなく、要約されています。これは別の問題であり、対処法も別です。
- 自社が答えにはなっているが訪問先にはなっていない検索語句を見つけてください。Search Consoleには今も表示回数が出ます。ChatGPT、Claude、Geminiでのプロンプトテストと組み合わせ、自社の名前が挙がるかを確認します。
- 引用されるページを作ってください。独自の数値、誠実な比較、そしてモデルがあなたの名前を挙げて示せる具体的な情報です。
- アシスタントが頼りにする第三者の情報源に載ってください。ディレクトリ、比較記事、レビューサイトは、独立した立場のものとして読まれるため、不釣り合いなほど大きな重みを持ちます。
2四半期かけて試行錯誤するのではなく、きちんと進めるための支援が必要な場合は、審査済みのAIエージェンシーとのマッチングを受けることができます。また、まさにこの業務を専門とする事業者をAI検索エージェンシーのカテゴリで探すこともできます。背景を知るための記事は、AIインサイトのブログに掲載しています。

各調査が示す減少の全体像
| 出典 | 計測された影響 | 時期 |
|---|---|---|
| Ahrefs | AI Overviewが表示された上位ページでCTRが58%低下 | 2026年2月 |
| Ahrefs(前回) | CTRが34.5%低下 | 2025年4月 |
| Pew Research | クリック率はOverviewありで8%、なしで15% | 2025-2026年 |
| Chartbeat | 2,500を超えるニュースサイトでGoogleからの流入が33%減少 | 2025年 |
| Digital Content Next | トラフィック減少は通常1-25%、一部の加盟社は75%超 | 2025-2026年 |
並べてみると、2つの点が目を引きます。1つ目は、独立した計測がすべて同じ方向を示していることです。この業界では珍しいことであり、真剣に受け止める価値があります。2つ目は、ばらつきが非常に大きいことです。1%の減少と75%の減少が同じデータセットの中に並んでいます。このばらつきこそ、手を打てる部分です。結果を決めるのは技術ではないことを示しています。決めるのは、どのようなコンテンツを公開しているか、そしてアシスタントに誰かをそこへ送る理由があるかどうかです。
問題を隠してしまう3つの計測ミス
ミス1:表示回数を見ずにセッション数だけを報告する。ダッシュボードにトラフィックしか表示されていなければ、20%の減少は順位の問題に見えます。そして、もともと壊れていなかった順位の修復に1四半期を費やすことになります。表示回数を並べて確認してください。表示回数が横ばいでクリックが減っているなら、それは要約の問題であり、ページ内の最適化をどれだけ重ねても解決しません。
ミス2:検索語句の種類をまたいで平均する。AI Overviewsは一様に表示されるわけではありません。情報収集型や定義を調べる検索語句では多く表示され、取引型や指名検索型ではずっと少なくなります。サイト全体を平均すると穏やかに見える数字になり、ファネル上部のページの壊滅的な数字と、ファネル下部のページの健全な数字が隠れてしまいます。結論を出す前に、検索意図ごとに分けてください。
ミス3:ブランド検索と非ブランド検索を同じように扱う。ブランド検索は比較的守られています。社名で検索する人は、たいていあなたのサイトそのものを求めているからです。被害が集中するのは、非ブランドの発見型検索です。ブランド経由のトラフィックが全体を支えているなら、問題なさそうに見える数字の裏で、発見のためのチャネルが失われていく様子を見ていることになります。
30日間の診断
- 第1週:Search Consoleのデータを12か月分エクスポートし、非ブランドの上位100語句について表示回数とクリック数を並べてグラフにします。表示回数が横ばいまたは増加しているのにクリック数が20%を超えて減った語句すべてに印を付けます。
- 第2週:印を付けた語句のうち価値の高い20件を選び、それぞれを自然な文章のプロンプトとしてChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityで実行します。自社の名前が挙がるか、どのURLが引用されるかを記録します。
- 第3週:引用マップを作成します。引用されたURLのうち自社のものではないそれぞれについて、ディレクトリ、比較記事、レビューサイト、フォーラムのスレッド、競合他社の独自調査のどれに当たるかを特定します。その分布が、影響力のある場所を正確に示します。
- 第4週:1四半期以内に現実的に働きかけられる情報源の種類を2つ選び、そこから着手します。多くのB2B企業では、まずディレクトリと比較記事への掲載、次に独自データです。
この作業は1人が週に1日ほどかければ進められ、社内のほかの誰にも作れない資料が出来上がります。優れたAI検索エージェンシーが最初の案件として販売している成果物がまさにこれであることは、偶然ではありません。
AI Overviewsに関するよくある質問
AI Overviewsはすべての検索語句で表示されますか。いいえ。表示は情報収集型や定義を調べる検索に大きく偏り、取引型や指名検索型では少なくなります。そのため、サイト全体の平均は発見型コンテンツへの被害を過小に示し、ファネル下部のページについては過大に示します。
AI Overviewsから除外してもらうことはできますか。可能ですが、通常の検索での露出にも影響する形でGoogleによるコンテンツの利用をブロックするしかありません。ほとんどの企業にとっては、悪い結果をさらに悪い結果と交換することになります。現実的な道は、コンテンツを引き上げることではなく、引用する価値のあるものにすることです。
AI Overviewsで引用されると、意味のあるトラフィックが得られますか。ある程度は得られますが、かつて検索順位がもたらしていた量よりは少なくなります。ただし、引用には青いリンクにはなかった推奨の効果があり、その効果は積み重なります。アシスタントがすでに信頼しているページは、再び引用されるからです。引用は、ブランドのおまけが付いたトラフィックチャネルではなく、トラフィックのおまけが付いたブランド露出として扱ってください。
これはGoogleだけの問題ですか。いいえ。同じ力学がすべてのアシスタントで働いています。計測を1つの接点に限定してはならない理由はそこにあります。
結論
最も順位の高いページでCTRが58%低下したということは、チャネルが衰退しているということではありません。チャネルが評価する対象を変えたということです。トラフィックは蒸発したわけではありません。仲介者が答えることに長けるようになり、報われる条件が「見つけてもらえること」から「引用してもらえること」へ移りました。引用されることを軸にコンテンツを作り直した企業は、18か月後には運が良かったように見えるでしょう。運が良かったのではありません。調査を読んでいたのです。
全文を読む価値のある情報源は、CTR調査の手法についてはAhrefs、クリック率の比較についてはPew Researchです。